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子どもが不登校になってしまう理由、そして学校に通えなくなる理由とは何でしょうか?
クラスでいじめられた、今度の担任の先生がとても怖い、集団行動がうまくできない、規則がすごく苦手…など、いろいろな理由が考えられるでしょう。
学校という場所は、社会ルールや人間関係を構築するために、いろいろな体験をする場です。だからそれを避けていては、本人のためにはならない!と、心を鬼にして、子どもに少々の無理をさせる親御さんもおられます。
子どもさんにとってはどうでしょうか?
実は、「少々の無理」には当たらず、たいへんな苦痛に感じる子どもたちも学級には存在するのです。
とても繊細で、敏感な気質を生まれ持った子どもたちです。
彼らは、HSC(Highly Sensitive Child)と呼ばれ、生まれつき繊細さや感受性の鋭さ、慎重さを持つ「とても敏感で感受性の高い子」なのです。
HSCの子どもたちは、さらに、人の気持ちを汲み取って寄り添ったり、その場の空気をうまく読み取ったりして細かい気配りができたりする優れた面も持ち合わせています。
繊細な気質を持ち合わせているがゆえに、今ある環境に合わないと、抵抗や拒否反応が起きてしまいます。周りからは、「甘えている!」「わがままだ!」「やる気がない!」などと責められ、生き辛さを感じてしまうことが少なくありません。
こうなってくると、周囲の正しい知識や寛容な理解が必要になってきます。周囲の誤解からHSCの子どもが、無理な登校を強いられたり、心の傷を負わされたりすることがないように、気遣ってあげる必要があります。
とても敏感で繊細な気質を持つHSCの親もまた、子どもと同様の気質を持っていることが多く、集団生活の中で苦労した体験を持つ方が多々おられるのも事実です。
成長の過程における負の体験が、孤独感、不信感、さらに恐怖や敏感さの高さに影響しています。
「みんなと同じようにできなくてはいけない!」
「学校は行かないといけない!」
と決める必要があるでしょうか?
そうした先入観にがんじがらめにされ、親子して不安や自責の念に囚われるのは、止めにしましょう。合わない環境に適応していこうとするのは、本人にとっては辛さしかありません。
HSCという気質が、世の中に広く知られるようになってきました。HSCのお子さんが、心地よく生活が送れるように学校でも過ごしやすい環境を整えていく必要があると思います。
学級には、いろいろなタイプのお子さんがいます。「学校へ通う」以外の選択肢をもっと広げていってもいいのではないでしょうか。
学校には「学習指導要領」というものがあり、学年ごと、教科ごとにやるべきことが決められています。この基準に沿って、学期ごと、月ごとに学ぶ内容が配列されています。
子どもたちは、これをすべてこなしていくわけですが、HSCの子どもにとっては、集団でいること自体に辛さを感じていたり、宿題を提出することやテストを受けることにおおきな抵抗を感じている場合もあります。
そんな時は、担任の先生やスクールカウンセラーの先生に相談してみるのがよいと思います。
学校としてできることは、たくさんあります。
そのお子さんのペースで、発達の状態に応じた学習に切り替えることはできます。支援員の先生をつけてもらうことも可能です。といっても、経費のこともあるので学校にお願いしたからすぐに実現するというわけではありませんが…。
学校という集団生活の場面で、ちょっとだけ配慮してもらうことで、HSCの子どもたちが抱える辛さが和らぐということはあります。
例えば、ADHDのお子さんが教室にいる時には、気が散るので黒板の横には掲示物は貼りません。こうしたちょっとした配慮のことを「合理的な配慮」と呼んでいます。
「この子には、〇○した方がいいだろう」と判断した場合、それは「合理的な配慮」として学校に対応していただくことができます。
特別支援学級への入級を希望する場合は、医師の診断書や知能検査などが必要になりますが、HSCのお子さんの場合は、診断書は必要ありません。「合理的な配慮」というキーワードにより、柔軟な判断、適切な対応を求めることが可能になりました。
もしも、HSCのお子さんに不登校の状態が見えてきたならば、どうしてあげるのがいちばんこの子のためになるのか、ということをしっかりと考えてあげてほしいと思います。
不登校には段階があります。不登校を長いトンネルに例えるならば、入り口付近で、立ち往生しているイメージ。決して無理をさせてはいけないけれど、HSCに対する合理的な配慮を求め、早急に対応することで、何とか学校へ行けるかもしれません。
とにかく頑張らせ過ぎて、体調を壊したり、心に深い傷を負ったりするのだけは絶対に避けたいものです。
不登校は、長いトンネルのようだと例えましたが、トンネルには必ず出口があります。
不登校になったら、二度と立ち直れない、仕事にも就けない、人生は終わり…と悲観する声も聴きますが、決してそんなことはありません。
学校へ行かなくても、数年後、進学したり就職したりして、活躍している人たちはたくさんいます。だから、お子さんには希望を失わないように、声かけしてほしいと思っています。
HSCの子どもは繊細であるが故の傷つきを多く体験してしまう可能性があり、自己肯定感を下げてしまい、自信を失ってしまうことも多いということを知っておいてほしいと思います。でも、他のお子さんと比べて優れている点もたくさん持ち合わせています。
だから、どんな状態にあっても、「自分らしさ」を尊重してほしいと思うのです。
HSCに限らず、自分の特性に自信を持って、自分を否定せずに生きていける環境を構築するのが、私たち大人の役目だと思います。