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小・中学校時代は様々な場面で柔軟な支援を受けることが可能でした。高校においても特別支援教育の考え方が浸透してきて、個に応じた適切な対応を求めることができるようになってきました。
でも、高機能自閉症やアスペルガー症候群の特性が理解され、万全な体制が取られているかどうかという点では、学校により個々にばらつきがあるように思われます。
不登校に陥りやすい高機能自閉症・アスペルガー症候群の生徒に対する支援のあり方について、考えてみたいと思います。
目次
学校生活において、クラスの中で孤立化させないためには、クラスメイトからの理解を得ることがとても大切です。理解がないと、「ちょっと変わっている子だな」という印象を与えてしまい、これがいじめやからかいの元になってしまうことがあるのです。
一度いじめやからかいを受けてしまうと、それが心理的なダメージとなり、心に傷を負うことにもつながります。自閉症スペクトラムのある生徒の特性を正しく知り、それを長所として捉え、みんなの前で褒めて、より具体的な理解のしかたのお手本をクラスメイトに示す必要があると思います。
例えば、日本史に詳しい生徒がいたとします。日本史の知識はクラスでも抜群。歴史上の年代や出来事、登場人物のことなど誰よりもよく覚えています。得意分野なので、一旦スイッチが入ると、ストップをかけるまで、ずっと話し続けることができます。
こういった特性をクラスメイトに理解してもらうためにはどうしたらいいでしょうか。
やはり、「このように理解してあげたらいい」という指導者サイドからのお手本が必要です。そして、優れている点は褒めるが、ルールが守られなかった場合は、本人が理解できる言い回しで注意をするというような約束事をクラスの中で交わしておくのがよいと思います。
思春期・青年期を迎えると、親御さんとあまり話をしなくなる傾向があります。なかなか話してくれないので、機会を見て、根掘り葉掘り聞こうものなら、かえってうるさがられ、学校でうまくやれているのかどうか情報が入りにくくなるため、親御さんは不安になられ心配事の元になってしまいます。
高校は義務教育ではありませんので、小中の時のようにはいきません。
そんな時は、サポートブック(お子さんの特性、困った時の手立て等を示したもの)を準備して、担当の先生に理解を得ることも必要になります。学校と本人、そして保護者の方との共通理解を図っていくことが、不登校を未然に防ぐ方策の1つになるのではないかと思います。
学校との共通理解・連携をしっかりと図ることができたら、どんなことが起きるでしょうか。
「本人をどう理解するか」という本人に対する認識が、学校と保護者の方の間でズレないようにする必要があるのです。自閉症スペクトラムの生徒が、不登校・ひきこもりになる可能性はあるのです。だから、本人に対して「おや、いつもと様子が違うぞ」という本人の不調や変調に気づいてあげることが大事で、早期対応することが重要なのです。
日頃から学校と家庭との連携を密にしていれば、本人の不調や変調に気づき、早期に適切な対応ができるのです。さらに、不登校が始まらないように、あるいは長期化しないように、ネックとなっている阻害要因を取り除いたり、軽減したりして、本人が学校に行きやすくなる環境を整備することができるようになります。
「学校に行きたくない」という気持ちは容認しますが、不登校状態を継続するのは良いとはいえません。早急に手立てを講じることが必要だと思います。
なぜ、学校へ行くことを嫌がり、欠席するのでしょうか。
それは個々の状態にもよりますが、考えられる理由は、大きく次の3つに絞られるのではないでしょうか。
①学習面でのつまずきが顕著になる
②友人関係でのつまずきが顕著になる
③行事や集団参加などでのつまずきが顕著になる
自分の気持ちが上手く伝えられない、自分の考えをなかなか分かってもらえない、何度やっても自分の思い通りにいかないなど、失敗体験が多いと、ネガティブな見方になってしまいます。
「1回でも失敗しちゃダメだ!」
「100点取れなきゃダメだ!」
「自分は正しい」
特性として、このようなこだわりもあるため、失敗した時のショックをとても大きく感じてしまうのです。
「ま、いいか」
「そんなこともあるさ」
「次、がんばればいいじゃん」
と、うまくその場をやり過ごすことができないので、とても苦しいのです。少し窮屈な考え方をしているのですね。
自分のやり方や考え方どおりに上手くいかないという経験や、自分のやり方が周囲に受け入れてもらえないという経験は、本人にはたいへんショックなことで、不登校の原因となります。
「これが正しい」と考える自分のこの考えやこの思いが、なぜ周囲に伝わらないのか、なぜ分かってもらえないのかという点で、自閉症スペクトラムのある人は悩みます。言葉で上手く表現できなかったり、気持ちの整理が上手くできなかったりするために、時にイライラしたり、怒ったり、体調不良になったりするのです。
学校と家庭との共通理解や連携が上手くできていれば、特性からくる問題に早期に対応できるのです。
「本人の人となり、どんな考えをもっているのか、いちばん嫌がっているのはどんなことか、何に価値を置いているのかなどに対して、周囲が理解を示し、理解に努めようとすることが大事だと思います。
本人と困っていることについて話す(聞き出す)場を早急に設けることが可能だといいですね。
・学習はどうなのか(ついていけない、極端に苦手な教科がある)
・対人との問題は抱えていないか(いじめ、からかいの体験)
・その他で困っていることはないか
学習面、対人関係の面で仮に悩みを持っていたとしても、学校ではなかなか表わさず、一見何も問題はないように振る舞うこともあるために、発見が遅れることがあります。家に帰ってから親御さんに辛さを伝え、初めて不登校の兆しに気づくこともあるということです。
今、どうしてほしいのか、どういう環境なら快適に生活が送れるのか、困っていることは何なのか、本人と直接話して聴いておくことは大切です。
保護者の方との連携を密にとり、手掛かりを得るということは、不登校を未然に防ぐという点でとても重要なことであると考えます。
十分な対応ができていれば、本人に「学校として打った策」を伝えることで安心感と信頼感を与えることができます。
困っていることや辛いという気持ちを学校に伝えれば、問題が解決するという体験を通して、次に困ったことに直面した時には、一人で抱え込まず、遠慮せずに相談することができるようになっていきます。
特性として、対人関係の面で困難さを抱える本人にとって、「人を信頼する」という部分の成長につながっていくのです。
自閉症スペクトラムのある人の特性を知り、困り感に寄り添い、可能である限り適切な手立てを模索し、方策を練るという取り組みは、重要だと思います。それは、より柔軟な対応策により、自閉症スペクトラムのみならず、他の生き辛さを感じている人たちにも役立つ対応策と成り得るからです。
もっと、自閉症スペクトラムのある人たちのことを知って、正しい認識を広めていくことで、社会が成長します。
さらに、自閉症スペクトラムのある人たちが生きやすい社会を創造していくために、みなさんの力をお借りしたいと思います。