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自閉症スペクトラムのある人たちが、スムーズに再登校できるようにするにはどうしたらよいのでしょうか。
一旦不登校に陥ってしまった場合は、時間がかかるかもしれません。でも、糸口は必ずありますから、手がかりを見つけたら、小さな問題から解決していき、再登校しやすくなるように環境を整えることが重要です。
目次
再登校を促すために、最も大事なことは、学校を拒んでいる理由を明確にすることから始まります。登校が難しい理由は何か?その原因を明確化し、問題を解決します。その後、本人に再登校を促すという手順です。
不登校の原因がはっきりしない時は、すぐに解決の方向へは移れません。その場合は、欠席もやむを得ないです。ただ、ズルズルと休ませるのではなく、期限を切るのが分かりやすいかと思います。
例えば、いつからいつまで休むのか、はっきりさせておく。
いつ学校に行くか、あらかじめ約束をしておく。
家庭でやっておく課題を渡す。
「学校を休む」ことを肯定すると、一時的には「登校しなければならない」ということから逃れることができ安堵感はあります。しかし、「登校しなければならない」ということへの不安感は抱えたままで、解決にはなっていません。
不登校の原因が、学校生活の流れのどの部分に、どのように関係しているのかを探り、本人を知る先生たちと連携しながら、原因を解決していくことが早期に行う対応です。
思春期になると、自分の困っていることを親御さんに話さないケースもあります。どうせ「学校に行け」と言われて終わりになる(未解決のまま)だけ、と思い込んで話さないこともあるのです。
そんな時は、気持ちがゆったりできるような場所に連れ出して、お子さんの言い分を肯定的に受け止める機会を作るのがいいですね。
聞き届ける人は、親御さんである必要はありません。本人が信頼できる立場の人がよいと思います。
仮に相談したいと思っても、悩みや不安感、こうしてほしいという希望を上手く言葉で表現できず、自分の思いを適切に伝えることが難しい場合もあります。
藪から棒に、「最近、困っていることありませんか?」と切り出しても、「はい、ありません」で終わってしまいます。困っていることを聞き出すにはちょっとした工夫が必要かもしれません。
例えば、話を具体的にするために、日課表を提示し、辛い教科を〇で囲むとか、どのくらい辛いのか「辛さ温度計」で示す(本人の感じる辛さを数値化、視覚化する)とか、辛さが複数ある場合は、辛いこと順に、順位を付けるなどの手立てをとって、不登校の原因を探っていきます。
時に、「学校でいじめられた」と訴えてくる場合もあります。
大きな声で名前を呼ばれたり、話しかけられたりすると、大きな音や声に敏感な特性を持っているため、「どなられた!」と感じることもあります。それを、いじめられたと思い込み、傷ついてしまうこともあるのです。本人の「とても嫌だったんだ」という感情に共感しつつも、場の状況を分かりやすくするために、絵を使って説明するなどの補助的な支援も必要な場面があるのです。
人との関わり方やコミュニケーションの取り方、感覚刺激に対する感じ取り方の特性など、その子のことをクラスメートに知らせ、理解を促す取り組みも必要です。
前述の「辛さ温度計」に表された本人の辛さ度を理解しながら、苦手な教科や苦手な場面のある場合は、みんなと同様に強制することは避け、その時だけ席を外す、見学するなどの参加方法も検討し、間接的な参加に留めることによって、本人の気持ちは楽になります。
できる範囲内で参加させ、「がんばって参加した」という態度面を認めるようにし、周りの生徒にも、本人の努力している姿を認めていくように、接し方の共通理解を図っていくことが重要になってくると思います。
○他者の目が気になって学校に行けない
他者の目が気になって学校に行けないことを訴えている場合にはどうしたらよいでしょうか。
他の子どもとの接触を控え、別室登校などに切り替えるとよいと思います。朝が苦手ならば、遅刻も認める。他者を避けたいなら、放課後登校も認めるといった柔軟な対応をしていくことが必要かと思います。
○学習に対して抵抗がある
教科指導を一時的に本人の好みの活動に切り替え、「学習すること」よりも「学校に来ること」を最優先させることが大事です。そして別室登校に移行し、慣れてきたら、本人とよく話し合って独自のスケジュール表を作成し、スケジュールどおりに動いて学習を進めることを容認することも必要です。学習への遅れが見られる場合も、その補充のしかたについては、本人とよく話し合って柔軟に対応していくことが求められるでしょう。
登校に対して、前向きな考えを持たせるにはどうしたらよいでしょうか。
本人に、登校に対して前向きな考えを持たせるための手立てとして、より具体的な登校案を支援者と一緒に計画することがとても大切になってきます。
本人の気持ちを大事にし、学校に行くのか行かないのかの選択は、自分で決めさせるのがよいと思います。ただ、それを判断するための材料となるものを提示することは必要です。
例えば、学校に行った時のメリット・デメリット、それから学校へ行かなかった時のメリット・デメリットを一緒に考え、表にしてみる。それぞれのメリット・デメリットについて比較検討できるように、1つ1つをより具体的に可視化して提示してみるのがよいと思います。
自分で「再登校をする」と決めることで、個人の考えは尊重され、自分で決めたことだから、他者のせいにせずに、前向きな姿勢で臨むことができます。もちろん、それをしっかりと見守り、援助してくれる人はこれから先も必要だと思います。